DX戦略
1.企業経営及び情報処理技術の活用の方向性
弊社は高知県内において、庁舎や病院、福祉施設、学校、マンション、住宅などの建築事業と、道路や橋梁、トンネル、ダム、下水道、河川工事などの土木事業を行う総合建設企業です。
高品質かつ安全に、そして限られた期間の中で施工を完了させるために、工事に関わる多くの協力業者の「まとめ役」となり、発注者様の厳しい審査にも通る高品質の建築物を関係者一丸となって作っています。
公共工事においては価格競争の時代は終焉し、適切な価格で高い品質が求められる時代になっており、その要求レベルは一層高まると予測されています。さらに業界を取り巻く環境は厳しく、国交省ならびに高知県はICTの全面的な活用等の施策を建設現場に導入する事によって、建設システム全体の生産性向上をはかり、魅力ある建設現場を目指す取り組みであるi-construction(アイ・コンストラクション)を推進しており、弊社も「人材不足の解消におけるデジタル化とDX促進」、「生産性向上のためのICT・AI等を活用した技術革新」を経営戦略上の最重要課題と位置づけ、会社全体の革新的改革を図り、全社員のITスキル向上も含める計画で、経産省の推進するDX推進を実践し、生産性向上・品質向上を図り、高知県を代表する建設会社として更なる進化を遂げ、地域経済を牽引したいと考えています。
2.経営の方向性及びデジタル技術等の活用の具体的な方策(戦略)の決定
主要課題
①コミュニケーションの電子化
グループウェアを導入し、チャット・カレンダー・web会議等のコミュニケーションツールを活用し、社内外の情報共有における円滑化・効率化を進めます。
②デジタルデータの活用による業務効率化・生産性向上
会計・労務管理・原価管理等に関わる社内システムを刷新し、紙書類を中心に手作業で行われていた業務をデジタルへ移行し、書類の保管・管理の簡便化を図ると共に、各システムの連携による業務フローの業務の効率化・自動化を進めます。また、社内の重要情報や日々積み重ねている工事・事務ノウハウを電子データにて蓄積することで、後述するデータの利活用に活用します。
③施工マネジメントの最適化
ドローン測量、レーザースキャン等の設備や、 3D点群処理システム等を完備させ、 起工測量から、設計・施工計画、 施工、 出来形管理、 納品に至る業務を3次元デジタル化し、 紙ベースでの従来作業からの脱却を行います。
④AI・テクノロジーを活用した業務効率化/付加価値の創出
AIやロボティクス等のテクノロジーを活用し、施工現場における業務の自動化を目指します。ICT施工によって作成された図面や施工実績に関するデータや、品質・安全管理のために行われた創意工夫などの実績など、蓄積されたデータを整備、加工、分析し、顧客への新たな提供付加価値の創出を目指します。
⑤人材育成・教育
デジタル化による業務の変化に社員が取り残されるデジタルディバイドを防ぎ、またデジタル技術の活用によるセキュリティリスクを軽減するため、デジタル・セキュリティに関する教育を継続して行い、全社的なデジタル知識の向上を図ります。また、蓄積されたデータを利活用し、可視化されたノウハウを若手社員への教育に活用し、次世代への技術の継承を目指します。
3.戦略を効果的に進めるための体制
推進に係る統括責任者は代表取締役が務め、プロジェクトマネージャーを営業部長、施工現場に関するプロジェクトでは建築部・土木部長、安全関係のプロジェクトを安全対策室長、総務・経理関係のプロジェクトを総務部次長が担当し、各部の社員と協同で進めます。
プロジェクト全体のスケジュール・タスク・課題・成果物等はプロジェクト管理ツールを利用し、日々発生する社内・社外を含めたQ&A等のコミュニケーションはビジネスチャットで実施します。
人材育成においては、月に一度、全社員が出席する会議において、情報セキュリティ委員会がセキュリティ・ITリテラシーを中心とした教育を実施します。同じく新入社員入社時にセキュリティ・ITリテラシーに関する基礎教育及び、プロジェクト管理ツールやビジネスチャット等、コミュニケーションツールの利用方法や社内ルール、DXの重要性についての教育を行い、デジタルディバイドの発生を防ぎます。
また、DXの中心となるメンバーへの社外DX人材育成講座等の受講を推進し、ITパスポート・情報セキュリティマネジメント試験への資格手当を支給するなど、より高度な人材教育への投資を実施します。
4.最新の情報処理技術を活用するための環境整備
- ・タブレットの導入
現場技術者全員にLTE接続が可能なタブレットを配布し、常時コミュニケーションが行える環境を構築する事で、迅速な情報共有を行います。また、タブレットの大画面を利用し、現場で図面データを確認しながら指示が行え、またカメラを利用し遠隔で現場の状況を確認するなど、ICT施工の利便性を向上させます。タブレットにはMDMを導入し、ソフトウェアの配信やOSのアップデート等を一括管理する事で、利便性とセキュリティ対策の両面が効率化します。
- ・高性能PCの導入
3D処理に耐えうる高性能なグラフィック性能を持つPCを配布する事で、ICT施工に利用する点群データや3Dモデル等を取り扱う事が可能になります。
- ・社内ネットワーク強化・セキュリティ設備の導入
本社に設置したサーバーに現場事務所から接続できるようVPN対応のルーターを導入し、現場から社内システムへの接続が可能になり、業務効率が向上します。またUTMによるネットワーク管理を導入する事で、社内ネットワークのセキュリティを大幅に向上させ、ウイルス被害・不正アクセス等のリスクを遮断します。
- ・ICT機器
UAV(空中写真測量)と3D地上型レーザースキャナーを導入します。UAVは地表面を主とし、起工測量による縦横断作成や土量計算、土の出来形面管理を行います。3D地上型レーザースキャナーはUAV飛行区域外での起工測量や土量計算、高精度を求める舗装工・構造物工を主とした出来形面管理を行います。3次元測量データと設計図書を基に作成する3次元設計データを照合し、面形状で評価します。支障物・干渉物等も机上で確認することができ、事故を事前に防ぐことができ、寸法計測や作業計画も容易に作成が可能です。現状→完成のイメージがしやすく、若手技術員や一般の方も一目で理解することができます。
- ・社内ソフトウェアの導入・刷新
原価管理・会計・労務管理に関わるシステムを刷新し、従来紙ベースで行っていた業務を電子化します。各システムが連携することで、業務間における情報の共有の効率化や、社内における情報の一元管理を目指します。また拡張性を考慮したシステムを導入することで、今後の機能拡張や他業務の電子化も見越した環境が構築できます。
5.DX戦略の達成に係る指標
- バックオフィス業務における業務時間20%/年 減
- 施工マネジメントの最適化による作業時間短縮 年600時間(対象作業1000時間の60%減)
- 施工マネジメントの最適化による工期短縮 15%件
- 顧客ニーズに対する付加価創出により工事評点(顧客評価) 2%向上
以上を達成し、2027年(DX開始から5年後)までに売上高10%増、営業利益率0.2ポイント増を目標とします。